「眠れない…」は誰にでも起こりうる悩み。実は5つのタイプに分かれるらしい
「眠れない…」という悩みは非常に一般的で、全人口の約10%が何らかの形で不眠に悩まされているとされています。
本ブログでも過去に、
・「眠ろうとしない」ことが眠るコツである話
・不眠アイデンティティの心理的な影響
・キャンプで自然と眠れるようになる方法
などを紹介してきましたが、どれも「誰にでも効果的!」と言い切れるものではありません。
そんな中、「不眠には複数のタイプが存在し、それぞれに適した対処法がある」という研究が注目されています。
オランダの大規模調査によって明らかになった「5つの不眠タイプ」
この研究は「オランダ睡眠登録所」のデータをもとに、約4,000人を対象として行われたもので、そのうち半数が慢性的な不眠を抱えていたといいます。
ここで言う「不眠」とは、
- 十分な睡眠時間を確保できる環境にあるにもかかわらず、
- 寝つきが悪い、途中で目覚めてしまう、早朝に目が覚める、目覚めても疲れが取れていない
といった状態が慢性的に続くものを指します。
加えて、この調査では、被験者の性格特性、感情的反応、ストレス耐性なども詳しく分析。その結果、不眠は以下の5タイプに分類されました。
タイプ1:強いネガティブ感情による不眠(約19%)
常に不安や悲しみなどの感情が強く、人生の幸福感が低い。ベッドに入ると気持ちが高ぶってしまい、眠れない。うつ病を併発することが多い。
タイプ2:感情的ストレスによる不眠(約31%)
幸福度は平均的だが、日常的なストレスが原因で覚醒状態になりやすい。寝る前に考えごとが止まらなくなるタイプ。
タイプ3:ポジティブ感情の欠如による不眠(約15%)
タイプ2と同程度のストレスは抱えているが、喜びや達成感を感じるのが苦手。そのため心が休まらず、結果として不眠に。
タイプ4:過去のトラウマや人生の困難が原因の不眠(約20%)
ストレス耐性はあるが、人生の中で起きたネガティブな出来事(経済的困難、人間関係、トラウマなど)が不眠の原因に。
タイプ5:行動の低モチベーションが要因の不眠(約15%)
タイプ4と同様にネガティブな出来事があるが、それに対処しようとする行動力が乏しい。問題解決への無気力が不眠を引き起こす。40代以降に発症することが多い。
タイプによって有効な対処法は異なる
これら5タイプには明確な違いがあり、当然ながら有効な対策も異なってきます。
- タイプ1:薬物療法+ストレスマネジメントが有効
- タイプ2:認知行動療法(CBT)+薬物療法
- タイプ3:ポジティブな感情を高める「行動活性化療法」
- タイプ4:過去の出来事を扱う「スキーマ療法」+薬物療法
- タイプ5:問題解決スキルの習得や支援+薬物療法
なお、タイプ2やタイプ4にはベンゾジアゼピン系などの処方薬が効きやすい一方、タイプ3は副作用が出やすい可能性があると報告されています。
まずは「自分の不眠タイプ」を知ることから
今回の研究はまだ初期段階ではあるものの、不眠に悩む多くの人にとって、自分の状態を客観的に理解するヒントになります。
「とにかく眠れない」と一括りにするのではなく、自分の感情や生活背景に目を向けてみることで、より効果的な対策が見えてくるかもしれません。
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