その効果と実践時の注意点
「誘引バンドル(Temptation Bundling)」は、「やらなきゃいけないけど面倒なこと」と「大好きなこと・楽しみ」を組み合わせることで、目標達成や習慣化を促す心理テクニックです。たとえば「掃除しながらお気に入りのドラマを観る」「エクササイズ中に好きなオーディオブックを聴く」といった形で実践されます。
誘引バンドルの基本的な実践ステップ
- 「好きなこと」と「嫌だけど必要なこと」をリストアップする
例:ゲーム、ドラマ視聴、スイーツ(好きなこと) × 勉強、運動、家事(必要なこと) - 「嫌だけど必要なこと」をやった時だけ「好きなこと」を楽しめるようルール設定する
例:運動中だけ好きなドラマを観てOK、など - もし決めたタスクをやらなかった場合は「好きなこと」を控える
これには友人など第三者の協力を得るとより効果的です。
誘引バンドルの効果――どんな人に向いているか?
- ミルクマン博士の研究によれば、「意志力が弱く習慣化が苦手な人」ほど、誘引バンドルの効果が高いことがわかっています。
- 実験では、やり方を説明しただけでも、1カ月間のトレーニング実施率が7%ポイント上昇したというデータもあります。
- 応用例は幅広く、「自炊の時だけワインを飲む」「書類整理しながらポッドキャストを聴く」など、日常のあらゆるタスクに使えます。
誘引バンドルを使う際の注意点
- 認知負荷の高いタスクには不向き
たとえば、メール返信や難しい資料作成など、脳の処理能力をフルに使う作業と、音声コンテンツや映像など他の認知的な刺激を組み合わせると、パフォーマンスが下がる危険があります。そういった場合は別のモチベーション戦略を選びましょう。 - 自分の行動管理に使うのが基本
他人の行動を変えたい場合にはあまり効果が期待できません。自分自身が「本当に好きなこと」へのアクセスをきちんと制限できる場合のみ、最大の効果を発揮します。 - 「好きなこと」は「必要なこと」とセットでのみ解禁することが重要
たとえば「ジムでしかオーディオブックを聴かない」と決めたら、家や移動中には聴かない徹底したルールが必要です。ルールが曖昧だと効果が薄れるので注意しましょう。
まとめ
誘引バンドルは、習慣化や目標達成の強力なツールです。「やるべきこと」と「楽しみ」をうまく組み合わせることで、億劫な作業も継続しやすくなります。ただし、認知的負荷やルールの曖昧さには注意し、自分の行動に対してのみ活用することで、最大限の効果を引き出しましょう。行動の「ごほうび」をうまく設計したい方、習慣化が苦手な方は、ぜひ試してみてください。
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