──性格と富の関係を探る調査より
「お金持ちはどんな性格をしているのか?」という問いに対し、ドイツのマインツ大学などの研究チームが興味深い分析を行いました。これは「ドイツ社会経済パネル(SOEP)」という大規模な継続調査のデータをもとに、富裕層と非富裕層の性格的な違いを明らかにしようとしたものです。
🔍 調査概要
- 対象:ドイツ在住の約2万人
- 分析対象:純資産(不動産、株式、事業資産など)と負債(住宅ローンなど)の情報
- 分類:
- 「金持ち」=純資産100万ユーロ(約1億3000万円)以上
- 「非金持ち」=純資産80万ユーロ(約1億円)未満
- 富の得方によっても分類:
- 自営業者(起業などによる自力型)
- 相続者(贈与・遺産による受け取り型)
- 混合者(両方を含む)
🧠 性格診断に使われたもの
- ビッグファイブ(性格特性テスト)
- リスク選好に関するテスト
💡 主な結果
調査から得られた主な発見は以下の通りです:
✅ 大金持ちに多かった性格傾向:
- リスク許容度が高い
- 開放性(新しいものへの興味・好奇心)が高い
- 外向性(社交性)が高い
- 誠実性(自己管理力)が高い
- 神経症傾向(不安・ストレスへの脆弱さ)が低い
なお、わずかに「協調性」が低めという傾向もありましたが、これは統計的には有意な差ではなかったようです。
🧑💼 特にこの性格傾向が強かったのは?
- 最も顕著だったのは「自営業者」
- 次に「混合者」
- 「相続者」ではこの傾向はあまり見られなかった
💬 興味深い補足
- 非富裕層の中にも、比較的少額の資産を自力で築いた人が存在し、そうした人たちも富裕層と似た性格特性を持っていた(ただし顕著さはやや劣る)
🤔 研究から得られるヒント
この研究が示唆するのは、「富を築くには、持って生まれた資質も関係している可能性がある」という点です。
- リスクをとる勇気
- 好奇心や柔軟性
- 社交性や人脈を築く力
- 計画的に行動する勤勉さ
- ストレスへの耐性
これらの要素がそろっている人ほど、大きな資産を形成する確率が高いようです。
⚠ 注意点もあります
- 相関関係の研究であり、性格が原因で金持ちになるのか、金持ちになると性格が変わるのかは明確ではない
- 文化的背景:この調査はドイツ限定のものであり、他国では異なる傾向が出る可能性がある
- 性格だけでは決まらない:非富裕層の中にも金持ちに似た性格の人は一定数存在する
💭 最後に
「自分は金持ち向きの性格じゃない…」と感じたとしても、悲観する必要はありません。最近の心理学では、「性格は意識的な行動を通じて変えられる」という見解が主流です。
たとえば:
- 小さなチャレンジを積み重ねてリスク耐性をつける
- 新しいことに触れて開放性を広げる
- コミュニケーションの練習で外向性を育てる
といった方法も研究されています。富の獲得においても「性格は固定されたものではない」と考えるのが現代的なスタンスかもしれませんね。
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