体を動かしながら学ぶと記憶が定着しやすくなるという研究結果
― アクティブレッスンは通常授業よりも学習効果が高い ―
「運動が脳に良い影響を与える」という研究は増え続けています。では、**「授業中に体を動かすこと(アクティブレッスン)」**は、学習効果にどう影響するのでしょうか?
この問いに対して、**ロンドン大学などによるメタ分析(※)**が、明確なエビデンスを提示しています。
◆ アクティブレッスンとは?
「アクティブレッスン」とは、身体活動を組み込んだ授業形式のこと。例としては以下のようなものが挙げられます。
- 【例1】Google Earthで仮想旅行 → 出題される英語や数学の問題にその場でジャンプなどで回答(ロンドン大学)
- 【例2】算数の計算問題に応じてその場でジャンプ(例:2×4=8 → 8回ジャンプ)(ジョンズホプキンス大学)
これらは遊びのように見えますが、一定の学習効果が実証されています。
◆ メタ分析の概要
- 対象データ数:42件(質の高い実験のみ)
- 対象者数:12,663名(年齢:3~14歳)
- 対象地域:欧米・アジアを含む国際的サンプル
この大規模な統合分析により、アクティブレッスンの総合的な効果が明らかにされました。
◆ 主な結果(効果量付き)
評価項目 | 効果量(Cohen’s d) | 内容 |
---|---|---|
授業中の活動量 | d = 2.33 | 明らかな増加(当然) |
日常全体の運動量 | d = 0.32 | 中程度の増加 |
授業内容の習得度 | d = 0.81 | 大きな学習効果(かなり高い) |
学力全体の向上 | d = 0.36 | 小〜中程度の向上 |
認知機能・健康レベル | 変化なし | 明確な影響は確認されず |
研究者らはこの結果を以下のようにまとめています。
「アクティブレッスンは、学習内容を記憶に定着させ、教育カリキュラムの質を高める有効な手段となる。生徒の印象に残る体験を作ることが、学習の手助けとなる。」
◆ まとめ:体を動かしながら学ぶメリット
- 記憶の定着に強く影響
- 学力向上にも一定の効果
- 授業外の運動習慣形成にもつながる
- 認知機能や健康への影響は限定的
このメタ分析は子どもを対象とした研究ですが、大人にも同様の効果が期待できる可能性はあります。実際、ウォーキング中の読書や音声学習が集中力や記憶力を高めると感じている人も多く、日常生活に取り入れる価値があるでしょう。
参考:
(※)Watson, A., et al. “Effects of classroom-based physical activity interventions on academic and physical activity outcomes in school-aged children: A meta-analysis.” British Journal of Sports Medicine, 2019.
この内容も、図解やチェックリストなどに落とし込めます。必要であればその形式でのご提供も可能です。お気軽にお知らせください。
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