科学が示す意外な影響
「お金のストレスは心に悪い」ってよく言われますよね。
実際に、お金の不安は見た目を老けさせたり、IQを下げるという研究報告もあるなど、経済的ストレスが私たちに与える影響はかなり深刻です。
そんな中、バージニア大学の研究によって新たに注目されたのが、「お金の不安は体の痛みも引き起こす」という事実です。これは、ちょっと無視できない内容かもしれません。
データで見る「経済的な不安」と「痛み」の関係
この研究は、アメリカの33,720世帯を対象に行われた大規模な調査です。
各家庭の雇用状況と、どれくらい鎮痛剤を使っているかを比較したところ、
- 誰も就職していない家庭では
- 少なくとも1人が働いている家庭よりも
- 鎮痛剤の消費量が約20%多かった
という結果が出ました。
つまり、経済的不安を抱えると、身体的な痛みを感じやすくなる傾向があるということです。
実験でも確認された「お金と痛み」の関係
この調査に加えて、研究チームは実験室でも以下のようなテストを行いました。
実験①:お金の不安を想起させてみる
- 参加者に「お金に困った経験を思い出してもらう」または「将来的にお金に困る状況を想像してもらう」
- その後、「今どれくらい身体に痛みを感じていますか?」と質問
結果は予想通りで、お金の不安を感じた参加者ほど「痛みを感じる」と答えました。
実験②:将来への安心感を操作してみる
- 参加者の半分には「あなたは成績が良いから将来は安泰」と伝える
- 残りの半分には「学位があっても今は就職が難しい」と伝える
- その後、全員に「氷水に手を入れて痛みにどれだけ耐えられるか」を試す
この実験でも、「将来に不安がある」と言われた学生たちは、痛みに25%も弱くなるという結果が出ました。
なぜお金の不安で体が痛くなるのか?
その理由はまだ完全には解明されていませんが、有力な説として挙げられているのが「自己コントロール感(sense of control)」です。
人は、自分の人生や感情をある程度コントロールできているという感覚があると、ストレスや外的刺激に強くなります。
逆に、「どうにもならない」と感じると、心も体もパニック状態になり、ちょっとした刺激にも過敏に反応してしまうのです。
実際の「経済状態」よりも「感じ方」が大事
さらに面白いのは、実際に貧しいかどうかよりも、「これからお金に困りそうだ」と思っただけでも痛みの耐性が下がる、という点です。
つまり、たとえ裕福な家庭にいても、将来の不安があれば体は反応してしまう。
逆に、今の生活が経済的に厳しくても、「まあ、なんとかなるだろう」と思えるなら、痛みを感じにくくなる可能性があるということです。
自分の「最低限の生活費」を知ることがヒントに
では、どうすればこの悪循環を断ち切れるのでしょうか。
ひとつのヒントは、「自分が普通に暮らしていける最低限の生活費=ミニマムライフコスト」を知ることです。
それを紙に書き出すだけでも、「実はそんなに不安にならなくていいのかも」と思えるきっかけになります。
このように、お金の不安を「漠然とした恐怖」ではなく、「把握できる数字」に変えることで、心と体の安心感はかなり変わるはずです。
まとめ
- お金の不安は体の痛みにもつながる
- 実際に貧しいかどうかより、「不安を感じること」が大きく影響
- 自己コントロール感を高めることが、痛みの緩和にもつながる可能性あり
日々のストレスを少しでも減らすために、自分の「不安の正体」を見える化する工夫、ぜひ取り入れてみてください。
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