A:将来、夢

「答えを待てる人」は強い

不確実性を受け入れる力と現代人のメンタルヘルス

現代社会では「すぐに答えがほしい」「結果を早く知りたい」という傾向が強まっています。しかし、「答えを待てる力」=不確かさに耐える力(Intolerance of Uncertainty: IU)が高い人ほど、心の健康を保ちやすいという研究があります。シンシナティ大学などの最新の知見によれば、IUが高い人、つまり「不確実性に耐えられない人」は、答えが出ない時間に強いストレスや不安を感じやすく、生活全般が“ハードモード”になりやすいことがわかってきました。

IUが高い人の特徴と生活への影響

  • 疑問が解決しないと別のことに集中できなくなる
  • 映画や本の結末が気になって先にラストを見てしまう
  • インターネットの注文状況が気になって何度も配送状況を確認してしまう

このような行動は、「不確かさに耐えられない」という心理から生じます。人生における多くの場面では、すぐに正解が得られるわけではありません。そのためIUが高いと、常に不安や抑うつ状態に陥りやすく、メンタルヘルスに影響しやすくなります。

研究が示す「答えを待てる力」とメンタルの関係

シンシナティ大学の研究グループは、IUの高さが不安や抑うつ、主観的なストレスの強さと有意に関連していることを指摘しています。特に「答えが出ないときの主観的な苦痛」が、IUの苦痛成分の指標になるという結果も出ています。つまり、答えを待てずに心が揺れ動くほど、生活の質が下がりやすいのです。

「答えを待てる力」を鍛える具体的な方法

  • 自分の感情や思考に注意を向ける
    答えが出なくてイライラしたとき、その感情や「なんですぐに配送しないんだ!」といった思考を意識的に観察します。これは認知行動療法の基本でもあり、自分の思考が感情にどう影響しているかを理解することで、不安をコントロールしやすくなります。
  • 待つ練習をする
    答えが出ない状況にあえて身を置き、「いずれ明らかになる」「答えがなくても生きていける」と自分に言い聞かせます。映画や小説の結末を急がず、今その瞬間を味わうことも有効です。ペースを落とすことで、思わぬ発見や新しい楽しみが生まれることもあります。
  • 待てたら自分にご褒美を与える
    うまく「待てた」ときは、自分を褒めたり、好きなことをしてみるといったご褒美を用意しておきます。こうした行動学的なアプローチは、徐々に「待つこと」へのポジティブな感覚を育ててくれます。

まとめ:不確実性を楽しむ力を養う

「待つこと」は単なる苦痛ではなく、時間の流れや自分の感情を味わう貴重な体験でもあります。不確実性を恐れて戦うのではなく、「いまここ」を楽しむ心の余裕を持つことで、メンタルヘルスも大きく改善されます。答えを急がず、プロセスそのものを楽しむ心の姿勢を意識してみてはいかがでしょうか。

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