H:健康

「太っている方が長生き?」を読み解く

長寿と体型、最新研究が示す本当の関係

「長生きできる体型って何?」という問いは古くから議論されてきました。一般的には、痩せすぎも太りすぎも健康リスクが高いとされますが、実は「標準体型よりやや太めのほうが長生きするのでは?」というデータも少なくありません。こうした現象は「肥満パラドックス」と呼ばれ、BMI(体格指数)が22.5〜23.5のいわゆる普通体型よりも、BMIが27.5以上の肥満体型の高齢者の方が寿命が長い傾向が報告されてきました。

肥満パラドックスと健康寿命の実際

早稲田大学の研究チームが日本人高齢者1万人以上を対象に行った大規模調査では、BMIと健康寿命、そしてフレイル(加齢に伴う心身の活力低下)の関係が詳しく分析されました。

  • 最も健康寿命が長いのは「普通体型」
    BMI22.5〜23.5の高齢者は、要介護認定を受けるリスクが最も低く、「やせ」でも「肥満」でもない普通体型が長生きしやすいという結論になりました。
  • やせすぎはリスクが高い
    BMI18.5未満の「やせ型」の高齢者は、要介護になる前に死亡するリスクが高く、エネルギーや栄養の蓄えが不足しやすいことが寿命の短縮に関わっていると考えられます。
  • 肥満は「障害を持ったまま生きる期間」が長い
    BMI27.5以上の肥満高齢者は、健康な期間が長いというより、「障害や疾患を抱えながら生存する期間」が長くなりやすい傾向が認められました。特にフレイルを有する肥満者は、フレイルのない肥満者よりも、障害を持ったまま生存する期間が長くなるという結果です。

なぜ「太っていると長生き」現象が起きるのか?

  • 栄養の貯蔵効果
    高齢者は体力や健康状態が急激に低下した時、体脂肪や筋肉などの蓄えが生命維持に役立つことがあり、やせ型よりも太った人の方がダメージへの耐性が高くなります。
  • 筋肉量の維持
    BMIが高い人は、体脂肪だけでなく筋肉量も多い場合があり、これが体力や免疫力の維持に貢献している可能性があります。

健康寿命を延ばすための教訓

  • 標準体型(BMI22.5〜23.5)が理想
    健康で要介護になりにくい期間を長く保つには、やせすぎず太りすぎず、標準体型を維持するのがベストです。
  • フレイル対策が不可欠
    BMIが適正範囲でも、フレイル(心身の活力低下)があれば健康寿命は延びません。筋肉量や体力の維持、社会的なつながりを意識して生活することが重要です。
  • 肥満が長生きに見えるのは「健康な期間」ではない
    肥満体型の高齢者は障害や疾患を抱えたまま生きる期間が長くなる傾向があり、QOL(生活の質)が低下しやすい点には注意が必要です。

実践的なアドバイス

標準体型を維持しつつ、筋トレやウォーキングなどで筋肉量・体力をキープし、栄養バランスを整えることが大切です。また、孤独感の解消や社会参加もフレイルの予防につながります。

まとめ

「太っている方が長生き」という現象には一定の理由があるもの

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