「お金よりも時間を大切にすると、」—ハーバード・ビジネス・スクールの研究より
ハーバード・ビジネス・スクールのアシュリー・ウィランズ教授は、長年にわたり「時間と幸福」の関係を研究してきた行動科学者であり、著書『タイム・スマート(Time Smart)』では「お金よりも時間に価値を置く人のほうが幸福度が高い」という調査結果を多数紹介しています。
教授の研究によると、「時間を大事にする」という価値観を持つだけで、年間で約4,400ドル(約60万円)分の幸福感が得られるとのこと。さらに、嫌な作業をアウトソーシングすることで得られる幸福感は、年に10,000ドル(約100万円)に相当するという試算もなされています。
また、時間を重視する人には次のような特徴が見られるそうです:
- 新たな人間関係を築くのがうまい
- より効率的かつ創造的に働く傾向がある
- 休憩の取り方が上手で、生産性が高い
一方で、人々がお金を優先しがちな背景としては、「お金=成功」という社会通念や、金銭が数値化しやすいという性質が影響しているとも述べられています。
では、どうすれば「時間を重んじるライフスタイル」にシフトできるのか。教授は以下の3つのアプローチを提案しています:
- プロアクティブ・タイムの確保
人生にとって重要だが緊急ではない活動(例:読書や趣味など)に意識的に時間を確保する。週に2回、各2時間程度を目安にスケジュールするとよい。 - 日々の選択で「時間か金か」を自問する
ちょっとした行動(メール返信や仕事の持ち帰りなど)のたびに「時間を優先するか、お金を優先するか?」を意識して判断する。 - 時間を買う=利他的行為と捉える
アウトソーシングなどに対する罪悪感をなくすには、「誰かの収入や経験につながる」と考えると前向きになれる。
現代では「成功=金銭的豊かさ」と捉えられがちですが、著者はその価値観に一石を投じ、「時間に重きを置く生き方こそが、最終的な幸福と成功をもたらす」と強調しています。
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