近年、ブルーライトに関する話題が広く取り上げられるようになっています。ブルーライトとは、テレビやスマートフォンなどの電子機器から発せられる青色光のことで、とくに夜間においては睡眠の質を低下させる要因のひとつとされています。
しかしながら、ブルーライトが悪影響を及ぼすのは主に夜間に限られます。日中のブルーライトには、体内時計を整える効果があるため、朝日を浴びることはむしろ健康に良いとされています。つまり、ブルーライトも使い方次第ということです。
そうした中、興味深い研究として取り上げられているのが「ブルーライトによって認知機能が向上する可能性がある」という内容の論文です(1)。
この研究は、ハーバード大学医学部によって行われたもので、35名の男女を対象にした実験でした。参加者は暗い部屋に入り、以下の2つのグループに分けられました。
- オレンジの光(578nm)を30分浴びるグループ
- ブルーライト(469nm)を30分浴びるグループ
その後、全員に対して認知テストが実施されました。その結果、ブルーライトを浴びたグループは以下のような向上が見られたと報告されています。
- 反応速度の向上
- ワーキングメモリの性能向上
また、参加者の脳活動をfMRIで観察したところ、ブルーライトを浴びたグループでは前頭前皮質の活動が著しく高まっていたとのことです。この部位は、思考や自己制御といった高次の認知機能をつかさどる領域であり、ここが活性化することで「頭が良くなる」ような状態が導かれた可能性が示唆されています。
研究者によれば、ブルーライトは集中力や迅速な判断が求められる職種において有効活用できる可能性があります。具体的には、パイロットや医療現場、軍事関連の職務、あるいは自然光の届かない国際宇宙ステーションのような環境での利用が想定されています。
特筆すべきは、「ブルーライトを浴びるのは作業前の30分間で十分効果がある」という点です。つまり、作業中に継続的に浴びる必要はなく、事前に準備として活用できるという点が応用の幅を広げています。
なお、市販のスマートフォン向け「ブルーライトセラピー」アプリも存在しますが、より本格的に活用したい場合は「Aidapt」などの光療法デバイスの使用が推奨されるかもしれません。もともとは気分障害などの改善を目的とした製品ですが、認知機能の向上にも効果が期待できる可能性があります。
必要に応じて、もっと専門的な口調や別の文体(雑誌風、コラム風など)にも調整可能です。ご希望があればお知らせください。
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