【研究レビュー】「レジスタントスターチ」で痩せられる?腸に良いけどダイエット効果は?
「腸にいい」として知られるレジスタントスターチ(難消化性デンプン)。
便通の改善や血糖値の安定に役立つと言われていますが、
「**ダイエットにも効果があるの?」」というご質問をいただいたので、今回はその点に絞ってお答えします。
そもそも「レジスタントスターチ」とは?
レジスタントスターチは、その名の通り「消化に抵抗するデンプン」。
胃や小腸では消化されず、大腸まで届いて発酵し、**短鎖脂肪酸(SCFA)**を作り出します。
その働きにより:
- カロリーとして吸収されにくい
- 腸内環境の改善に貢献
- 血糖値の急上昇を防ぐ
といった特徴があり、食物繊維に近い性質を持っています。
レジスタントスターチに「ダイエット効果」はあるの?
結論から言うと、直接的な体重減少効果はあまり期待できないというのが現在の研究結果です。
▶ ①【2015年 ナラティブレビュー】
4〜12週間の研究をまとめた結果:
- 健康な人も、インスリン抵抗性のある人も
- 総カロリー摂取量や体重に有意な変化なし
つまり、レジスタントスターチを摂っても体重は減らなかったという報告です。
▶ ②【アラバマ大学 系統的レビュー】
11件の研究を分析した結果:
- 投与量は1日13〜40g
- 血糖値やインスリン感受性には良い影響
- でも、体重・体脂肪・筋肉量などの変化は見られなかった
つまり、「健康には良いけど、痩せはしない」というわけです。
▶ ③【2020年 ペニントン研究センター】
糖尿病予備軍を対象にした研究では、
- レジスタントスターチを摂っても食欲が減るわけではない
- 食事量も変わらない
という結論に。
「体重が減らない理由」もちゃんとある
とはいえ、いくつかの研究では「見かけ上、体重が増えているように見える可能性」も指摘されています:
- レジスタントスターチで腸内細菌が増えると、腸内の内容量そのものが増える
- 便の量や腸の壁の厚みが変わることで、一時的に体重が重く測定される
また、短期の研究が多いため、
- 代謝やカロリー消費量への影響を十分に評価できていない
- 長期的に見れば何らかの変化がある可能性もゼロではない
という留保もついています。
現時点でのまとめ:レジスタントスターチは「痩せるため」ではなく「腸のため」に摂ろう
現状のエビデンスをふまえると、
- 「痩せたいからレジスタントスターチを摂る」は非効率
- ただし、腸内環境を整えることが結果的に代謝改善につながる可能性はある
- あくまで「健康管理の一環として摂る」のが良さそう
といった位置づけが妥当です。
レジスタントスターチの取り入れ方
手軽に摂取する方法は以下の通り:
- 白米やじゃがいもを冷やしてから再加熱する
→ 冷却によりレジスタントスターチが増えます(4℃で24時間が目安) - グリーンバナナ(未熟なバナナ)を食べる
- 市販のレジスタントスターチ粉末を利用する
→ 私もこの方法をよく使っています。コーヒーやヨーグルトに混ぜるだけでOK。
最後に
レジスタントスターチは、腸活・血糖コントロール・便通改善などに良い影響を与えてくれる食材。
ただし、「これだけで痩せる!」という魔法のような効果はありません。
でも、腸が整うことで肌や気分も安定しやすくなりますし、生活の質(QOL)を上げてくれる存在なのは間違いなし。
「ダイエットのついでに腸も元気になればラッキー♪」くらいの気持ちで取り入れてみてください。
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